ここなら邪魔されずに。

 

真夏の夜。

 

汗で額に張り付いた私の前髪を

指で梳いてキスを落とす。

 

それから少し笑った君を

私は下から見上げていた。

 

重なり合っていた時間は

どれだけの長さだっただろう。

 

不自然な程、長い時間で

君は私の奥に触れた。

 

 

もし、永遠なんてものが存在するのなら

きっとあれがそうだった様に思う。

 

 

永遠だった、という表現自体が

間違っている様な気もする。

 

けれど、

 

あの終わらない感覚は

 

ずっと

時間が反芻されている感覚は

 

永遠だった、

 

としか思えない。

 

 

 

身体の芯が

何処にあったのかを初めて知った。

 

骨が軋む音が

自分の身体の華奢さを教えた。

 

泡立つ肌が

優しく指でなぞられる度に女の肌だと思った。

 

肩に口付けられた圧が

愛しい程に苦しかった。

 

 

 

 

 

熱で浮かされた、様に

 

何度も

 

何度も

 

何度も

 

 

奥が揺さぶられていくから。

 

 

 

 

 

 

 

"もう、戻れない"

 

 

 

そう思った。

 

 

 

 

 

 

心が

 

勝手に泣いていたから

 

 

私は

 

君の身体を強く抱き締め返したんだ。

 

 

 

 

何倍も

 

何倍も

 

きみの心が泣いていた気がしたから。

 

 

 

 

 

 

永遠、だった。

 

 

 

泣いていた。

 

 

 

君を抱きしめた。

 

 

 

私の奥を執拗な程に求めていた君を。