感触も痛みも本物じゃない。

 

君の代わりには誰もなれない。

 

 

抱き寄せる腕や匂い。

 

重なる掌の圧。

 

頭の上から降る言葉。

 

啄ばまられる唇の合わせ方。

 

身体を揺する熱の動き。

 

 

 

なにもかも

 

 

なにもかも

 

 

君だけが違う。

 

残り方が違う。

 

 

 

あれが何より欲しいのに。

 

手を伸ばしても掴んでくれない時は

試されてる気がする。

 

 

それがとてつもなく悔しいから

他の人を手を握る。

 

腰を引き寄せられれば

委ねてしまえる。

 

 

 

"代わりにはならない"

 

その事実を

何度も何度も頭の隙間で

反復しながら

 

目の前にただ存在する首元に

腕を回す。

 

君とは違う

ぬくもりに微笑みに

時間を飲み込まれさせていく。

 

 

 

 

髪に口付けられると

 

額に口付けられると

 

頬に口付けられると

 

中に口付けられると

 

 

君の唇の感触を思い出して

 

思わず笑ってしまう。

 

 

君の髪は黒で硬く。

 

さっき目の前で触った髪は私と同じ色で

柔らかく。

 

私を抱き寄せる力は君よりも強かった。

 

私を包む腕は君よりも大きかった。

 

 

 

 

 

 

 

 また、ちがった。

 

 

 また、まちがえた。

 

 

 おもわず、わらってしまう。